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seasonal旬をたのしむ

長崎に秋を知らせる飛魚

2021.08.23
飛魚

ピュンピュンと、海上を跳ねる姿が印象的な「飛魚」。日本近海では30種ほどいるとされ、品種や地域によって旬が違います。島根や京都などの西日本では、6月〜9月頃に旬を迎え「夏とび」などとも呼ばれます。一方で、水揚げ量が日本一の長崎県では、秋の県魚に指定。長崎県の中でも漁獲量の多い平戸では、秋を告げる風物詩でもあります。

伝統的な製法が紡ぐ郷土の味

飛魚のあっさりとした身は、お刺身やたたきにすると抜群です。また、卵の「とびっこ」は、お寿司のネタとしても知られます。さらに九州では、飛魚を「あご」とも呼び、伝統的な出汁としても親しまれています。中でも長崎県では、あごの出汁は、具沢山なお雑煮に欠かせない高級食材。

高級なのには、ちゃんと理由があります。まず、おいしい出汁のために、原材料となる飛魚は小さすぎても大きすぎてもいけません。理想的なサイズに育った飛魚を捕獲できるのは、北風が吹き始める9月半ばから11月頃までと、一年の間でも短期間。また、とった飛魚は、新鮮なその日のうちに、手作業で焼き上げていきます。秋とはいえ、残暑厳しい中、炭火でじっくりじっくり焼き上げていく、昔ながらの製法。全て人の手がかかっているため、大変手間ひまのかかる作業です。


こうして出来上がった「焼きあご」。水に浸して戻し、ふつふつ泡が上がるくらいの弱火で煮出して、旨味を抽出します。澄んだ出汁は、かつお出汁などと合わせることで、よりおいしくいただけます。

10月の新米もたのしみな、この季節。日本食に欠かせない「出汁」を、改めて見直してみませんか。


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