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seasonal旬をたのしむ

春の訪れをよろこぶ日

2022.02.28
ハマグリ

3月3日は、桃の節句(ひな祭り)。今では、女の子のいる家庭でひな人形を飾り、その成長としあわせを願いますが、古くは季節の変わり目である「節句」の一つ。邪気を払い、無行息災などを願う行事として親しまれてきました。

桃の節句に囲む行事食

桃の節句には、他の節句と同じく、その日ならではの行事食をいただきます。その代表的なものといえば、ひなまつりの食卓やひな人形の傍らに用意する、華やかな顔ぶれ。

白酒(しろざけ)
蒸した白米(もち米)と米麹を混ぜ合せ、焼酎やみりんを加えて熟成させ、石臼でひいてつくる白く濁った甘い飲み物です。桃の花をお酒に浸した「桃花酒(とうかしゅ)」を、邪気払いとして飲む習慣が由来とされています。戦国時代よりも前からひな祭りで親しまれ、江戸時代ごろからは、桃花酒よりも白酒が好まれるようになったといわれています。

菱餅(ひしもち)
ひな人形と一緒に飾る菱餅は、中国で上巳(じょうみ)の節句に食べられていたお餅がルーツといわれています。緑・白・赤(桃色)の3色で、それぞれに意味があります。緑はヨモギ餅(かつては母子草)で草の芽や大地を表し、白は菱の実が入ったお餅で子孫繁栄や長寿、赤はクチナシの実などが用いられ、魔除けの意味が込められています。

ひなあられ
桃の節句で食べられる米菓子です。古くは、ひな人形を持って外へ出かけて、人形に春の景色を見せる「雛の国見せ」という風習があり、このときに持参していたのだとか。関東は甘いあられで、関西では醤油がメインのしょっぱい味わい。また、華やかな彩りも特徴です。3色なら菱餅と同じ意味。4色なら、春(赤)夏(緑)秋(黄色)冬(白)を表します。

ハマグリのお吸い物
華やかなちらし寿司とともに、ひな祭り定番のごちそうの一つがハマグリのお吸い物です。昔から日本の食文化に欠かせない二枚貝の一種であるハマグリは、同じひと組の貝殻同士でないとピタリと重なりません。諸説ありますが、女の子が良縁と巡り会い、仲睦まじく暮らせるよう願って食べられます。

ハマグリは3月3日が食べおさめ?

中でもハマグリは、この時期のごちそう。冬〜春先に、もっともおいしいころを迎えます。

形が栗に似ており、浜で獲れたことからその名がついたそうで、春の季語の一つ。かつては今の4月にあたる旧暦の3月3日がハマグリの食べおさめともいわれ、桃の節句のお祝いを飾るのにぴったりです。

その栄養素は、実に豊富です。ビタミンB12・鉄・カルシウム・タウリン・鉄・亜鉛など、多くのミネラルを含み、貧血や高血圧に悩む方、滋養強壮によいと、古くからよろこばれています。

お吸い物にすると、貝の旨みのコハク酸が溶け出し、ハマグリの深い味わいと恵みを丸ごとたのしめます。ちなみに、お吸い物は「潮汁(うしおじる)」とも呼ばれます。具材と昆布をコトコト煮て、仕上げにほんの少しの塩・お酒・醤油で味を整えるだけ。出汁をとる必要がないため、汁物の中でも比較的手がかからず、素材本来のおいしさを満喫できます。

  • 「ハマグリのお吸い物」のつくり方

    1. ハマグリは、砂ぬきをした後で、流水で貝をこすり合わせて洗う。
    2. 鍋に、一人前・1カップの水、昆布を適量、ハマグリを入れ、火にかける。沸騰したらあくをすくい、弱火にする。
    3. 貝の口があき始めたら、火を止め、昆布を取り出し、塩、酒、醤油で調味する。
    4. お椀に注ぎ、お好みで木の芽や三つ葉などをのせていただく。
Tips|塩抜きのやり方
・海水程度の濃度の塩水に、ひたひたになるよう、できるだけ重ねないで1〜2時間ほど室温で浸ける
・塩水の濃さの目安は、200mlあたり塩6〜7g
Tips|おいしさのポイント
・水の状態から火にかけ、ハマグリの旨味を引き出す
・グラグラ煮立てると身が硬くなりやすいので、火加減に注意
・事前につくって食べる場合は、食べる直前にハマグリを取り出し、汁だけを温める。湧いたら最後にハマグリを戻し、サッと温める

口の中を、ふわりと抜ける季節の味わい。温かな春を無事に迎えられたよろこびを、旬のおいしさとともに囲みませんか。


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