旬をたのしむ
シシリアンルージュ、エバーグリーン、イエローミディ、ブラックプリンス……。思わず「何の色?」と聞いてしまいそうな、カラフルな名称ですが、これはどれも実際にある「トマト」につけられたもの。トマトは、体力を奪われがちな暑い季節の食卓に欠かせない、夏野菜の代表ともいえる存在です。
食べ方も、調理法も、実に様々です。暑い季節に旬を迎えますが、今では一年中見かけ、とにかく栄養たっぷり。豊富なビタミンA・B6・C・E・カロチン(リコピン)・リンゴ酸・クエン酸・カリウムなど。特に、その赤色に含まれる栄養素のリコピンは、高い抗酸化力をもつと注目されています。ビタミンや大切な栄養素が汗とともに失われがちな夏に最もおいしい時期を迎えるのは、とても理にかなっているのです。
その起源は南米ペルーのアンデス高地です。これには諸説ありますが、もともとアンデスで調理用に栽培されていたトマトが、16世紀に入ってヨーロッパへ。南欧や北欧で生食用に改良されて世界中に一気に広がったという説が、最も有力です。
日本で生食用として広まったのは、実は大正時代以降。今ではすっかり親しみのある野菜の一つです。
トマトは「赤」というイメージをくつがえす カラフルな顔ぶれ
トマトは元来、過酷な条件に適応する性質をもつことから、現在では全国の農家で栽培、品種改良されています。日本だけでも、ざっと100を超える種類が流通しているので、旅先の食事やマーケットで「今まで見かけない珍しいトマトを発見!」などというおたのしみも。
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- ブラックトマト
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黒色が特徴的な、ロシア原産のトマト。クセがなく、ほのかな苦みとすっきりとした風味がある。
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- ファンゴッホ
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房付きのまま収穫するため、トマト特有の爽やかな香りがたのしめる。甘味と酸味のバランスが抜群。
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- レモンボーイ
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鮮やかな黄色と、ジューシーな果肉。みずみずしくフルーティで、サラダなどの生食におすすめ。
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- ピンピネフォリウム
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正式名称は「リコペルシコン・ピンピネリフォリウム」。アンデス生まれの野生種。直径約1cmと小粒だが、糖度が高い。熟すと真っ赤に色づく。
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- ポンテローザ
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明治時代末期にアメリカから渡ってきた、日本ではなじみ深い種類。酸味が弱く、果汁が多い。手のひらサイズで、ピンクに近い赤色が特徴。
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- イタリアントマト
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イタリア料理のために生産された調理(クッキング)用トマト。他の種類よりもゼラチン質が高く、甘味も強い。
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- マイクロトマト
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直径1cmにも満たない超小粒サイズ。甘味が強く、ケーキなどスイーツ類のデコレーションにもよく使われる。
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- ショコラ
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その名のとおり、チョコレート色が特徴的。ミニトマトの一種。
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- イルディー
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黄色の、超小粒サイズ。甘味と酸味が少ないため、生食に向いている。
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- オレンジトマト
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フルーツのような甘みと、トマトらしい酸味。小粒ながら水っぽさが少なく、旨味が凝縮されている。
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- グリーンゼブラ
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ゼブラ状の濃淡グリーンが特徴の小粒品種。引き締まった実が特徴的で、フリットなどの料理にも。
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- 狼桃(おおかみもも)
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乾燥した、寒暖差の激しいアンデスの野生種の栽培法に近い環境で生育。滋味溢れる力強い風味が特徴。
トマトをたのしむ
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RECIPE
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