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people想いをつなげる

素材から食卓までをつなぐ『GOOD CHEESE LABORATORY』

2024.10.25
素材から食卓までをつなぐ『GOOD CHEESE LABORATORY』

1973年、N.Y.でチーズ専門店として始まったDEAN & DELUCA。日本に上陸し、20年以上。今やイタリアやフランスなどのチーズはもちろん、本場で学んだ日本の職人が、日本の気候風土のもとつくる良質な味わいもバリエーション豊富に取りそろえています。

そんな日本のつくり手の中でも、東京・碑文谷という都心に工房を構えるのは『GOOD CHEESE LABORATORY(グッド・チーズ・ラボラトリー)』です。「毎日が食べごろ」をコンセプトに、東京ローカルにこだわり、つくりたてのチーズを提供するショップや飲食店も営む彼ら。

東京で、良質なフレッシュチーズをつくる彼らのルーツとは。そして、どのような想いでチーズと向き合っているのでしょう。マネージャーであり、このブランドのチーズ職人の第一人者である、貞光信哉(さだみつ しんや)さんにお話しを伺いました。

Interview

GOOD CHEESE LABORATORY

GOOD CHEESE Laboratory
『GOOD CHEESE GOOD PIZZA』で食べられる「つくりたてチーズ3種盛り合わせ¥2,600(税込¥2,860)

もっちりとした食感のモッツァレラノディーニをはじめ、フレッシュクリームがしたたるブッラータ、きめ細やかな舌触りのリコッタなど。白くかがやくチーズを頬張ると、口の中に広がるやさしいミルクの甘み、穏やかなコク、そしてあと引くミルク感――。

『Japan Cheese Awards』で金賞にも輝いたフレッシュチーズが自慢の『GOOD CHEESE LABORATORY』がオープンしたのは、2018年のこと。日本のDEAN & DELUCAを運営する『ウェルカム』が、その原点にあるチーズ専門店にあらためて立ち返ろうと、東京・日比谷にチーズ工房兼ピッツェリアを立ちあげたことにあります。

貞光信哉さん
お話を聞いた貞光信哉さん。2017年から北海道でチーズ職人としての修行を積んだ

「おいしいチーズをつくるには、搾りたての生乳が欠かせません。そして、チーズはつくりたてで味わうのがいちばん。だから、牧場も工房もショップも飲食店も、すべてが東京にあり、つながっている。この近さこそが『GOOD CHEESE LABORATORY』にとって大切なことであり、『GOOD CHEESE LABORATORY』らしさだと思います」


  • GOOD CHEESE Laboratory
  • GOOD CHEESE Laboratory
  • GOOD CHEESE Laboratory

その原点にあるのは、イタリア南部のチーズです。現地では、チーズはつくりたてでなければという感覚が強く、「つくったその日にしか売らない」という職人も少なくないのだとか。

「フレッシュチーズは、できてから2時間ほどがもっともおいしいんです。生乳からチーズになるまでは、だいたい5〜6時間。朝食で出すチーズは前日に下ごしらえをすませ、当日の朝に仕あげます。ディナーで出す分は、当日の夕方に一からつくる。できる限り新鮮なものをお召しあがりいただきたいと考えています」


清瀬の牛たち
清瀬の牛たち。牧場の横で育てられるトウモロコシなどを食べ、やさしい甘さの乳を出す

生乳のおいしさを守るためにも、保存料や添加物は一切使用せず、原材料は“生乳・塩・水”のみ。使うのは3つだけだからこそ、一つひとつが重要です。

「安定しておいしいチーズをつくるため、生乳はなるべく絞りたてで、輸送のストレスをかけないことが大事です。だから工房からもっとも近く、安定的に生乳を仕入れられる東京・清瀬の生乳を選びました。

清瀬は古くから乳牛が育てられている町で、乳牛たちは管理が行き届いた牛舎で大切に育てられているんですよ」

塩は、鳴門の海塩と石垣の塩の2種類を使用。味付けと保存用で塩を変えることで、チーズに複雑味が出るそうです。また、やさしい生乳の味わいを引き立てるため、塩分濃度は高めにしている、とも。

「もともとモッツァレラに使う塩は、海塩と決まっています。そこで当初、シチリアのものやゲランド、カマルグなど、さまざまなイタリアの塩を試しました。その中で、東京でつくるチーズなのだからと日本の塩は?と試してみたら、いちばん安定的においしいチーズがつくれたのが徳島・鳴門の塩と石垣島の塩だったんです。

鳴門の塩は、正統派なおいしい塩です。石垣島の塩は、甘みと旨味が強く、お料理に使っても抜群。どちらも変な雑味や苦味が出ず、清瀬の生乳とも相性がいい。

水は東京の水です。お酒づくりなどでも使われるくらいですから、東京の水っておいしいんです」


  • 生乳のおいしさを守る
  • 生乳のおいしさを守る
  • 生乳のおいしさを守る

生乳のおいしさを守るためにも、保存料や添加物は一切使用せず、原材料は“生乳・塩・水”のみ。使うのは3つだけだからこそ、一つひとつが重要です。

「安定しておいしいチーズをつくるため、生乳はなるべく絞りたてで、輸送のストレスをかけないことが大事です。だから工房からもっとも近く、安定的に生乳を仕入れられる東京・清瀬の生乳を選びました。

清瀬は古くから乳牛が育てられている町で、乳牛たちは管理が行き届いた牛舎で大切に育てられているんですよ」

塩は、鳴門の海塩と奄美の塩の2種類を使用。味付けと保存用で塩を変えることで、チーズに複雑味が出るそうです。また、やさしい生乳の味わいを引き立てるため、塩分濃度は高めにしている、とも。

「もともとモッツァレラに使う塩は、海塩と決まっています。そこで当初、シチリアのものやゲランド、カマルグなど、さまざまな塩を試しました。その中で、東京でつくるチーズなのだからと日本の塩は?と試してみたら、いちばん安定的においしいチーズがつくれたのが徳島・鳴門の塩と石垣島の塩だったんです。

鳴門の塩は、正統派なおいしい塩です。石垣島の塩は、甘みと旨味が強く、お料理に使っても抜群。どちらも変な雑味や苦味が出ず、清瀬の生乳とも相性がいい。

水は東京の水です。お酒づくりなどでも使われるくらいですから、東京の水っておいしいんです」


ホエイ
捨てられてしまう「ホエイ」も、すべておいしく食べる方法を模索した

日々、試行錯誤を繰り返し、職人の手で一つひとつつくられる新鮮なチーズ。それらをつくる過程において、どうしても出てくる「ホエイ」も有効活用しているそうです。

「ホエイは生乳から乳脂肪やたんぱく質を取り除いた副産物です。ぼくたちは、リコッタに使ったり、ドリンクにして飲食店で提供したりしています。

ただ、日々500ℓほども出るので使い切ることは難しく、以前はやむを得ず廃棄していました。でも廃棄するといっても、たんぱく質の含有量が多いので、環境への影響も気になります。なんとかうまく活用できないか?と考えて出来あがったのがブラウンチーズです。ホエイにクリームを添加して1/10ほどに煮詰めるチーズで、キャラメルのような食感にピーナッツバターのような風味とコクがあります。

近ごろでは、つながりを生かしてDEAN & DELUCAのベーカリーにもホエイを使ってもらっているんですよ。ぼくたちのチーズはもちろん、ホエイがいろいろなおいしいものに生まれ変わり、より多くの方にたのしんでいただけるのはうれしいですね」

東京の生乳を使った生クリーム
東京の生乳を使った、東京生まれの「生クリーム」

また、東京・碑文谷の工房では生クリームづくりにも着手。毎朝運ばれてくる生乳を余すことなく加工ができる環境が整い、新たな可能性を広げています。

「もともと東京産の生クリームはありませんでした。だから、いつか自分たちの工房で生クリームをつくりたいと思い続けていたんです。

以前は工房が日比谷にあったのですが、2024年に碑文谷の広い工房に移ったことで、生乳をクリームと低脂肪乳に遠心分離させる機械を新しく導入して、生クリームもつくれるようになりました。これですべて“東京ローカル”と胸をはって言えます」

こうしてできた生クリームは、クリームチーズに。同時にできる低脂肪乳は、フロマージュブランに活用。現在、7種のチーズがたのしめるようになりました。

  • チーズの魅力をたのしむメニュー
  • チーズの魅力をたのしむメニュー
  • チーズの魅力をたのしむメニュー

左:GOOD CHEESE GOOD PIZZA 中・右:GOOD CHEESE GOOD BAKE で提供のメニュー

そして、『GOOD CHEESE LABORATORY』には、併設する飲食店『GOOD CHEESE GOOD BAKE』も。そのままはもちろん、料理人の手によってお菓子や料理などおいしいものに姿を変え、さらなるチーズの魅力をたのしむことができます。

「フレッシュチーズの魅力は、やはりできたて。だからショップや飲食店には、丸ごとそのままを贅沢に味わえるメニューもありますし、いろんなお菓子や料理に展開できるように糖度や脂肪分をぎりぎりまで調整してつくっています。

また、どうしても出来たてでお召しあがりいただくのが難しかったチーズは、ピザにトッピングすることもあります。すべて余すことなくおいしく食べていただけるように工夫していますね」

つくって終わりではなく、食するよろこびを一層感じてもらえるように。一つのチーズを取り巻く素材から食卓までを、ぐるっとつなぐ。そんな“GOODな環境”が『GOOD CHEESE LABORATORY』にはあるのです。

最後に、今後についても伺いました。

「以前、工房があった日比谷のスペースを生かし、今度は熟成チーズにもトライしたいと考えています。東京ローカルだからこそ生まれる熟成の味わいをお届けできるよう、目の前のチーズ一つひとつに丁寧に向き合ってゆきたいですね」

  • 汎用箱モジュール
  • GOOD CHEESE LABORATORY

    2018年、東京・日比谷にオープン。2024年に東京・碑文谷に移転。毎朝、清瀬から届く搾りたて生乳でつくるチーズ工房。隣に『GOOD CHEESE GOOD BAKE』を併設する。京都にも工房とイタリアンレストランがあり、京都は丹波から届く生乳でチーズづくりをしている。そのチーズは、2年に1回行われる国産ナチュラルチーズのコンテスト『ジャパンチーズアワード2024』で、3種類が金賞。初出品となるクリームチーズは銀賞を受賞。

DEAN & DELUCAでたのしむ「GOOD CHEESE」

デリ惣菜 クラフトチーズを味わう
香り、コク、ミルク感で人々を魅了するチーズ。
世界に肩を並べる良質なチーズを生み出す日本各地の工房から、職人の技で作り上げた個性豊かなクラフトチーズを厳選。
シェフの創意工夫がつまったメニューをお届けします。
クラフトチーズのトリプルモッツァレラサンド
カフェフードクラフトチーズのトリプルモッツァレラサンド
ご注文をいただいてからおつくりする自家製サンドイッチに、「GOOD CHEESE LABORATORY(グッドチーズラボラトリー)」のつくるモッツァレラチーズを丸ごと一個使用したホットサンドが登場。
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