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seasonal旬をたのしむ

アペロのお供に缶詰料理

2020.11.25

アペロ

フランスなど欧米で愛される、夕食前につまみながら軽く飲むひとときを「アペロ」といいます。日本国内でも、新しいたのしみ方としてずいぶん浸透してきました。

リラックスタイムですから、お酒のお供も気張らずに用意できるメニューを。そこで、DEAN & DELUCAがおすすめしたいのは缶詰料理です。

「缶詰」と聞くと、日本では長期保存できる「食材」をイメージするかたも多いかもしれません。もちろんそうした面もありますが、フランスやポルトガル、スペインなどヨーロッパ各地では、一つの調理方法として親しまれています。

豚肉と貝の煮込み料理
缶詰料理が豊富なポルトガルの郷土料理、豚肉と貝の煮込み料理。

そんな缶詰料理に詳しく、自家製するシェフがいます。東京・代々木八幡にあるポルトガル料理とワインの店『 マル・デ・クリスチアノ 』の佐藤幸二氏です。

シェフは、イギリス生活で出会ったポルトガル人の友人を介して、その祖国の料理に惹かれました。また、ポルトガル料理について学ぶ中で、缶詰料理とも巡り合います。

帰国後、7年前にオープンしたマル・デ・クリスチアノ店内で製造・提供しはじめた自家製の缶詰は、本格的なつくり方にならったもの。現地の人たちからも「おいしい缶詰料理が日本にある!」と評判なのだとか。

ここからは、佐藤シェフにその想いを伺います。

安全でおいしい缶詰の限界にトライしたい

「僕と缶詰の付き合いは、幼少期に遡ります。父の田舎である秋田では、寒い冬を越すために秋になめこを採り、缶詰にします。それを冬場に少しずつ食べるんですね。子ども心に、秋田から届く缶詰がおいしくて、好きでした。
こうした思い出もあって、僕はもともとおいしい缶詰に興味があったし、つくりたいとも思っていました。そうしたら、ポルトガル料理の一つに缶詰があったんです。
現地では、食事の時間に缶詰が登場することもあるのですが、おいしい。缶詰をパンの上にのせて、まずはフォークとナイフで具材を食べ、後から旨みの染み込んだパンをいただくのが定番です。さらに、缶詰専門レストランもあるぐらい、日常生活に溶け込んでいるんですよ」
缶詰
「後になって知るのですが、秋田のものはレトルト※をかけずに『ホットパック脱』でつくられていました。これは、ゆっくりじっくり低温加熱して、食材そのものの歯応えやジューシーさを活かす製法です。日持ちは、1ヶ月から長くて1年くらいですが、保存食というより調理法の一つとして捉えれば十分だと思います。
また、缶詰は中でじっくり味が染み込み、熟成することで独特な味に仕上がります。さらに、身崩れのないまま魚が骨まで食べられるという利点もある。だからこそできる料理の価値表現があると思うんです」

レトルトの缶詰
一般的に流通する缶詰の多くは、121度の高温で短時間に仕上げる「レトルト」のものが多い。日持ちや製造数の面でいえば、3年程度もち、より一気にたくさんつくることが可能。ただし高温加熱などにより、風味は「ホットパック脱」に軍配。
 


「なぜホットパック脱の缶詰がおいしいかといえば、その理由の一つに、中の料理によって詰め方を変えることがあると思います。充填(じゅうてん)※という行程なのですが、この構成が、とても大切。
すごくたくさんの行程を踏むから、ずいぶん手間がかかります。食材それぞれに合わせた切り方をして、仕上がりをイメージして加熱したり、加熱する場合も時間をそれぞれで調整したり。また、食材ごとに浸透圧も違うので、それぞれに最適な塩分量を調整します。そして、加熱を見越して詰め、開けた時の見え方も意識します。ぎゅうぎゅうに詰めない。
缶詰を追求し始めてから、よく『昔の缶詰はおいしかった』という言葉を聞きました。これは、かつてはホットパック脱しかなかったからともいえるのですが、レトルトより風味が残るので、やっぱりおいしさではホットパック脱に軍配が上がるんです。
ホットパック脱の缶詰のおいしさは、僕の憧れであり目標。だからこそ、より安心して食べられるおいしい缶詰の限界を、レトルトで探っていきたいと考えています」

充填(じゅうてん)
ビンや缶、ボトルなどの容器に内容物を詰める作業。醤油やマヨネーズなど、中身が何であってもこういう。
 


缶詰の可能性

イワシのオリーブオイル煮
「DEAN & DELUCA CANNING」の「イワシのオリーブオイル煮」には、レモンも一緒に封じ込められている。

「僕が缶詰料理を好きな理由に、缶詰に詰める素敵さ、というのもあります。
手のひらにのる缶という限られた空間に、魚や肉、野菜、果物、調味料などが相まった、一皿と同じく本格的な料理が詰まっている。それは、日々の食卓はもちろん、手土産にしたり、キャンプや登山などのアウトドアに持って行ったり、もちろん何か起こった時の備えにもなります。
開けるだけでおいしくて、缶ごと火にかけて加熱できるのも、手軽だけど理にかなっていていいですよね」

イワシのオリーブオイル煮
 

「ちょっと食材を足してアレンジするのも、たのしみが広がりますよ。
おすすめは、エキストラバージンオリーブオイル、レモン、パクチー、1cm程度に角切りしたトマトを食卓に用意して、お好みで加えるスタイル。食材でフレッシュさを補うと、さらに味わいが増します。とくにオリーブオイルは万能ですから、おいしいものが手に入ったら試してみてください」
「缶詰は、長期保存するための“製造方法”ではなく、缶詰だから生まれる味や食感を追求する“調理法”」とも、話してくださった佐藤シェフ。国や文化、視点が変われば、おいしい世界はまだまだ広がります。
どうぞ今度のアペロのお供には、缶詰料理をお試しあれ。食べるたのしみが、ギュッと詰まっているはずです。
佐藤 幸二|KOJI SATO
佐藤 幸二|KOJI SATO
本格的な魚料理と現地ではなじみ深い缶詰料理をたのしめる、ポルトガル料理店『マル・デ・クリスチアノ』オーナーシェフ。各国で料理を学ぶ中で、ポルトガル料理に惹かれる。東京・代々木八幡にある店で製造する缶詰は、食感と香り、素材を閉じ込めた一皿そのもの。

本格的な一皿を閉じ込めた
DEAN & DELUCAの缶詰「FINE FOOD FROM THE PANTRY」

DEAN & DELUCAの缶詰

レストランでたのしむシェフの本格的な一皿を、いつでもどこでも、気軽に味わっていただきたい。そんな想いのもと、DEAN & DELUCAが缶詰をつくりました。ヨーロッパ各国では、広く愛される“料理”としての缶詰です。

常温で保存ができ、日持ちという利点のある缶詰料理。小皿にあけて盛り付けるだけで、お召し上がりいただけます。ワインと一緒に、ちょっとおいしいおつまみが欲しい時、さっと食卓に出せる気軽な“一品料理”として、おたのしみください。

ともにつくったのは、イタリア、ポルトガル、スペインにルーツを持つ3名のシェフ。鎌倉・長谷のエノガストロノミア『 オルトレヴィーノ』 』の古澤一記シェフ、東京・代々木八幡のポルトガル料理店『マル・デ・クリスチアノ』の佐藤幸二シェフ、福岡・うきはのスペイン料理店『 イビサ・スモーク・レストラン 』の尾花 光シェフです。伝統的な料理を、それぞれの味でご紹介いただきました。

開けるだけでおいしく、うれしい。そんな缶詰料理で、この冬はアペロをたのしみませんか。


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