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seasonal旬をたのしむ

しあわせ運ぶマリトッツォ

2021.05.31
マリトッツォのイラスト

美食の地として知られるイタリアですが、朝食は手軽にすませる人も少なくありません。その定番が、ビスケットやケーキといった“ドルチェ(甘いもの)”とコーヒーの組み合わせ。おなじみのドルチェの一つといえば「マリトッツォ」です。

近ごろでは日本でも人気のマリトッツォ。ブリオッシュにたっぷりの生クリームが挟まったインパクトのある焼き菓子で、食べ応えも抜群! シンプルなものから、レーズンなどのドライフルーツ入りや、生クリームに様々な味付けをしたものまで、その種類は豊富にあります。

その発祥は、古代ローマに遡ると言われています。名前は、イタリア語で「夫」を意味する「Marito(マリート)」に由来。これらには諸説ありますが、かつてローマの男性は、恋人に求婚する際、マリトッツォなどクリームを使った焼き菓子やパンのクリーム部分に婚約指輪を隠してプロポーズしたそう。また、3月初めの金曜日に、婚約者へ男性からマリトッツォをプレゼントする風習もあったのだとか。だから現在でも、イタリアではマリトッツォと共にプロポーズする人も。

よろこび溢れる6月

甘いドルチェと共にプロポーズが成功したカップルが、結婚式を挙げるタイミングの一つに、ヨーロッパでは6月があります。

イタリアを始め、ヨーロッパには「6月に結婚する花嫁はしあわせになる」という言い伝えの「ジューンブライド(June bride)」があります。というのも、かつてのヨーロッパは、3月~5月の3ヶ月は農作業の繁忙期でした。そのため、結婚が解禁となる6月に待ちわびていた多くのカップルが結婚式を挙げ、街は祝福ムードに満ちていたそうです。だから6月に結婚すると、より多くの人に祝福され、しあわせな生涯が送れると考えられていたのだとか。また、この季節のヨーロッパは長い冬が明け、気持ちのよい気候のシーズン。結婚式を挙げるのに最適というわけです。

3月にマリトッツォと共にプロポーズをして、5月までは農業に励む。そして、草木が青々と茂り、花も咲きほころぶ6月に、お待ちかねの結婚式を挙げるーー。かつての人々が、自然の営みと共に豊かな人生を送っていたことが感じられる、ロマンチックなエピソードです。


食するよろこび


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