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seasonal旬をたのしむ

「う」のつくもので夏の食養生

2021.07.06
「う」のつくもので夏の食養生

古くから、旬の食べ物は季節に合った体調に整えてくれるといわれます。春のえぐみのある野菜は、冬の間にため込んだものを排出しやすくする。暑い時期なら、夏野菜が体を冷やしてくれる。寒くなると甘みが増す根菜類は、体を温めるなど。

また、季節の変わり目に合わせて、食べ物で予防していくという考えも。その一つが、夏の「土用の丑の日(どようのうしのひ)」の鰻です。

言葉の由来

「土用(どよう)」とは

立春、立夏、立秋、立冬前の18日間(または19日間)を指す雑節です。中国伝来の陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)から由来し、万物の根源とされる「木火土金水」を、春=木、夏=火、秋=金、冬=水、と当てはめ、あまった「土」を季節の変わり目に割り当て、「土用」と呼びました。

土用は季節ごとにありますが、夏の土用は梅雨明けや大暑に重なり体調を崩しやすいため、最も重要視されるようになったそうです。

「丑(うし)の日」とは

日にちを十二支に割り当てた「丑」の日を指します。その中で、土用の18日間(または19日間)にめぐってくる丑の日が「土用の丑の日」。年によっては2回めぐってくることもあり、その場合は一度目を「一の丑」、2度目を「二の丑」といいます。


「う」のつく食べ物ですこやかに

昔から親しまれてきた「う」のつくものや土用の行事食

夏の土用の丑の日には「う」のつく食べ物で“食い養生”をするのが、昔からの風習です。かつては、梅干し、瓜、うどんなどが食べられてきました。

梅干し
クエン酸が疲れを癒し、食欲を増進する。

うどん
のど越しもよく、暑い日でも食べやすい。

瓜類
胡瓜(キュウリ)、西瓜(スイカ)、南瓜(カボチャ)、冬瓜(トウガン)、苦瓜(ニガウリ)など。夏が旬の瓜類。栄養価に優れ、体の余計な熱をとったり、利尿作用もある。

土用餅
あんころ餅のこと。食べると暑さに負けず、無病息災で過ごせるといわれている。

土用しじみ
栄養価が高く、肝臓の働きを助けるため「土用しじみは腹薬」といわれている。

土用卵
土用に産み落とされた卵。鰻と同じく精がつくとされている。


しかし今や、鰻がその主役です。これには諸説ありますが、江戸時代に蘭学者の平賀源内が考えた宣伝文句から、夏の土用の丑の日といえば鰻になったのだとか。

本来、鰻に脂が乗るのは、寒くなる初冬です。旬からはずれ、味がこってりしていた鰻の蒲焼きは、夏には売れませんでした。そこで、鰻屋が源内に相談したところ、彼は「本日 土用丑の日」という看板を提案。見慣れない言葉に足を止めたお客さんに、店の主人が源内直伝の「鰻は精がつくから夏バテによい」という宣伝文句を並べました。その甲斐あって、お店は大繁盛。その後、ほかの鰻屋もマネをするようになり、鰻を食べる習慣が定着したそうです。

実際、鰻は、疲労回復によいビタミンやエネルギー源となる脂質を含む、滋養に富んだ食材です。また、芳ばしい蒲焼の香りは食欲をそそります。食べて元気をつけ、すこやかに夏を過ごしましょう。


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