想いをつなげる
1977年、N.Y.のSoHoに住む友人たちへ、自信をもっておすすめしたいものだけをセレクトしてはじまったDEAN & DELUCA(ディーン アンド デルーカ)。店舗のある地域に根付くことを大切に、個性豊かな店舗づくりをしています。
その一つとして取り組んでいるのが『ART CANVAS PROJECT(アート キャンバス プロジェクト)』です。店舗に飾るアート、商品パッケージ、トートバッグなど、食を取り巻くあらゆるものを“キャンバス”に。様々な表現者と取り組むプロジェクトです。お客さまに、より一層、豊かな時間やよろこびをお届けしたいと考えています。
- 「コレットマーレみなとみらい」に掲げられたアート。鮮やかな色も目を惹きます。
この取り組みを通してつながったのが、2022年に100歳を迎えた染色家の柚木沙弥郎さんです。
2021年7月には、初めての取り組みとして、「カフェ コレットマーレみなとみらい」に切り絵を掲げました。モチーフは、DEAN & DELUCAにとって、大切で欠かせないものばかり。
- 2021年12月3日(金)刊行『DEAN & DELUCA MAGAZINE ISSUE04』特集
- 「しあわせのオムレツをあなたへ」。
また、同年12月には『DEAN & DELUCA MAGAZINE』の表紙のアートワークも手掛けていただきました。切り絵で表現されたオムレツは、卵にふっくら感が出るよう細工されています。
そして2023年6月、ふたたびご一緒することに。世界で初めての海外1号店として、2003年に東京・丸の内に店舗を構えてから20周年の私たち。この節目に、新たなアートを寄せていただきました。
ここからは、柚木さんから伺った大事なこと。そして、20周年に寄せてくださったアートについてお届けします。
VOICE
染色家・柚木沙弥郎氏
ものの美しさには、人の手がある
最初にお話しを伺った際、柚木さんはこうおっしゃっていました。
「君たちは、手でつくっているものを大事にしているだろう。ものの美しさには、結局、人の手がある。だから僕も、手でつくるんですよ」
この言葉にあるように、柚木さんは、「手でつくること」「手仕事でしかできないこと」「手から生まれるものでしか伝えられないこと」を大事にしてきたそうです。
「料理というのも、手仕事。おいしいものはいろいろとあるけれど、どれも手に関係があるでしょ。ごちそうは、手から生まれる。料理人の手、なんていうと恐れ多くなっちゃうけど、家庭料理だって手でつくって、どうぞ、と出して、出されたほうはうれしくなって、いただく。料理という手の仕事が、おいしさだけではなく、うれしさやたのしさにつながっている。それが大事ですよね(『DEAN & DELUCA MAGAZINE』 ISSUE4より)」
自分で見つけること。好きなものをもつということ
- 以前、柚木さんにお渡ししたカタログ。DEAN & DELUCAでは、食のもつ力を素直に表現することを大切にしています。
おいしそうな食材や料理は、見るだけでよろこびを運んでくれます。柚木さんは、直接見ることも大事にしているそうです。
「人を好きになるのと同じで、相手がものであっても、好きになる、というのは、理屈じゃないんですよね。本当に好きになると、向こうからも、それをもつ人の役に立ちたいという思いみたいなものが出てくる。そういう関係を築くことができるものを発見するには、いろいろなものを見る。直接見る。見て触れて、自分で選ぶのだという気持ちを忘れないでいてください(『DEAN & DELUCA MAGAZINE』 ISSUE4より)」
一人ひとりの団結。そして、つづいてゆく
「Living with Food -食することは、人生を味わうこと」。食と出会いをたのしみに、多くの人にそのすばらしさ伝えたいという想いは、DEAN & DELUCAの原点です。
そのうえで、20周年の節目に掲げたのが「Good Food Tells a Story -つなぐおいしさ つづくまいにち」というスローガン。おいしい食の背景には必ず物語があり、その素晴らしさをこれからも食卓へつないでゆきたいという想いを込めています。
「日本のDEAN & DELUCAが20周年を迎えること。そして、スローガンを伺って、まずハートだと思いました。
表したかったのは、一人ひとり、個人のつながり。それは団結。どうしたって一つしかない、個人個人のもっている大事な心臓。すなわち、それを表す大きなハートです。そのことを印象づけたくて、色紙をハサミで切ってこしらえました」
ちなみに今回の制作には、時間を要したといいます。一方で、非常にたのしんだとも。
「たいへんな時間をかけたんですよ。幾通りにも解釈できるような答えを出すのに。だけど、心臓のマーク、ものすごくたのしんでつくったんですよ」
前回のアートも、そして今回も。つねに新たなチャレンジとの出会いをよろこび、日々の創作をたのしみつづける柚木さん。最後に、ひとつの物事がつづくために大事なこととはなんでしょう?
「自分自身もあきないことですね。なるほどなあとみんなが思ってくれる、そういう印象が大事ですね」
受け止める側はもちろん、自分自身もつねに新鮮な気持ちを忘れない。長年、意欲的に創作に打ち込む柚木さんからの言葉を胸に、私たちはこれからも皆さまへ、世界中から選りすぐった本当においしいものをお届けしつづけます。
- 柚木沙弥郎|SAMIRO YUNOKI
- 1922年東京生まれ。染色家。柳宗悦の民藝の思想と芹沢銈介の型染カレンダーに出会い感銘を受け、染色家の道に進む。型染による染布、染絵などの作品を制作し、国内外で数多くの個展を開催。絵本の仕事や立体作品、グラフィックの仕事にも取り組む。女子美術大学名誉教授。第1回宮沢賢治賞、2021毎日デザイン賞受賞。
GOOD FOOD TELLS A STORY
日本上陸 20th ANNIVERSARY|ART WORK BY SAMIRO YUNOKI
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