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people想いをつなげる

ストーリーも食卓へ届ける『ふくどめ小牧場』

2024.09.01
ふくどめ小牧場 福留洋一さん

四季折々の気候風土とつくり手が育む、さまざまな食材。その中でも「肉」という食材には、生産者、シャルキュティエ、熟成士、料理屋など、多彩な目利きがいます。また「肉」とひと口にいっても、扱う種類やおいしさの極め方はそれぞれ。

個性豊かな彼らに共通するのは、日々の食卓を彩る “とっておき” の食材を、信念をもち追及しているということ。そして、肉に並々ならぬ愛情をもち、お客様にしあわせな時間も一緒に届けているということです。

バイヤーが各地へ赴く中で培ってきた、数々の出会い。今回は、本場で学び、現地で大切にされている “こころ” まで持ち帰って、自分たちの地元に合う方法で実践。会得した物事を地域や土地に合うようアレンジすることで、世界に一つのオリジナルを生み出している、鹿児島のつくり手をご紹介します。

Interview

ふくどめ小牧場 福留洋一さん

農畜産業が盛んな鹿児島県鹿屋市で、父親の代から養豚場を営む『ふくどめ小牧場』。その名の通り、家族中心の小規模なつくり手ながら、日本でここにしかない品種の「サドルバック」と「幸福豚(こうふくとん)」を飼育し、その加工・販売まで手がけています。

ふくどめ小牧場
「自分たちで責任をもって加工できるだけ」と、常に育てるのは全部で10〜15頭

福留洋一さんは、3人兄妹の次男で、子どもの頃から豚に接して育ちました。高校卒業後、イギリスとドイツへ。ドイツの国家資格であるマイスターを取得し、2011年に帰国。現在は、主に加工を担当しています。

「イギリスで語学を学んだあと、ヘルマンスドルフという、ドイツ国内でも昔ながらの製法を大切にしているオーガニックな村の工房に入りました。日本では肉屋とハム屋は別ですが、ドイツではと殺から加工・販売まで一貫して行います。つまり、一頭丸ごとを育てて売る。お肉も血も内臓も余すことなく使います。現地へ行き、僕ら家族が『ふくどめ小牧場』でやりたいのは、この命をすべていただく方法だと感じました」

豚を、愛情をかけて育て、命がなくなる瞬間も見届け、おいしく加工し、食卓に届ける。一頭一頭に目と手をかけるドイツの方法は、まさにふくどめ小牧場が描く姿。洋一さんは帰国後、家族と相談し、飼育は父と兄、加工は洋一さん、そして広報や販売は妹が中心となる、現在のかたちへシフト。


工房には、たっぷり陽光の入る大きな窓を設置
工房には、たっぷり陽光の入る大きな窓を設置

ふくどめ小牧場では、ドイツにならって工房もガラス張りにし、販売所の隣に設置。お客さまにも豚の解体から加工まで、作業が見えるようになっています。

「日本は工房に窓がないところが多いのですが、働く人の心に少しでも光がそそぐように。そして、お客さまにも学びや気づきになったらと思っています。僕たちは、命をいただくことで生きているのですから」


  • ふくどめ小牧場
  • ふくどめ小牧場
  • ふくどめ小牧場

目の前のおいしさには一つひとつ命があって、その命をいただくことで私たちは生きている。常に意識し続けるのは難しいかもしれませんが、おいしさの背景にあるストーリーを知ってもらえたら、と続けます。

ちょっとした野菜も栽培
洋一さんの畑は、牧場の隣にある。ちょっとした野菜も栽培

現在、ハーブや香味野菜などを自家菜園で育て、余計な添加物などを加えないオリジナルのシーズニングもつくる洋一さん。今後は、地域循環にも挑戦してみたいとのこと。

「ドイツでは、工房のある村に、チーズやビールの工房、パン屋、幼稚園もあって、それらの間で循環していました。廃棄物が出ないだけでなく、地域に雇用も生み出せます。僕らも、顔の見える人たちが取り組むものから出る廃棄物を活用したり、雇用が生み出せたらと思い描いています。たとえば、チーズやビールの工房をつくって、ホエーやビールのホップカスを豚の資料にするとか」

そのうえで、お肉そのもののクオリティをさらに上げ、新たなつくり方にもチャレンジしていきたい、とも。

「本場で学んだ伝統的なつくり方にも挑戦したいです。味が今より力強くなるし、添加物も使用しないから、お肉の味わいをよりしっかり感じていただけるものになるはず。僕は、ドイツで学んだすべてをここに合うかたちで実践したいんです」

大切に育てた豚を、丁寧に加工して「おいしい」のはふつう。その背景まで含めて「おいしい」と感じてもらえたら、と洋一さん。食べること、生きるということは、命をいただくこと。今日の心とおなかを満たすしあわせに想いを馳せてみると、また違ったひと時が過ごせるかもしれません。

ふくどめ小牧場
ふくどめ小牧場
オランダで養豚を学んだ長男・俊明さんが、日本唯一の希少な豚種「サドルバック」と「幸福豚」を飼育。ドイツのビオ食肉業界を牽引する牧場『Herrmannsdorfer』で7年間ハム・ソーセージ加工の修業をし、国家資格であるマイスターを取得した次男・洋一さんがシャクータリーに仕上げている。

『ふくどめ小牧場』の味わいをご自宅で

  • ふくどめ小牧場/シャクータリー
    ふくどめ小牧場/
    シャクータリーセレクション

    日本唯一の希少な豚種「サドルバック」と「幸福豚」のシャクータリー
    「まっすぐ、丁寧に、手間ひまをかけて」小さな牧場から生み出される希少豚種の味わいを活かしたこだわりのシャクータリーをお届けします。

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