サイトヘッダー

people想いをつなげる

私のおいしい 『OLTREVINO 古澤一記シェフ』

2020.12.05

私たちは、日々食べます。それは、体や思考を動かすエネルギーとしてだけでなく、季節の恵みを「おいしい」と感じること、そしてときに誰かと分かち合うことで、心の栄養にもなっているはず。

そこで「おいしい」ってなんだろう、という小さな好奇心を「食するよろこび」に携わる方々に聞いてみることにしました。

今回、お話を伺うのは、鎌倉・長谷「オルトレヴィーノ」オーナーシェフの古澤一記シェフです。

イタリアの豊かなくらしに魅せられて

まず「オルトレヴィーノ」さんが、イタリアではなじみ深い、
ワインをおいしくたのしむための全てが揃うスタイル「エノガストロノミア」に至った背景を聞かせてください。
私たちは、夫婦でイタリアで過ごしたこともあり、現地の人たちと家族ぐるみで付き合う機会も多く、その暮らしが強く印象に残りました。美食の地としても知られる華やかな国ですが、生活してみると、日々の暮らしがシンプルなのに豊かで丁寧なんです。

そう感じた理由の一つに、家庭での食卓があります。もちろん毎日のことですし現代社会ならではの忙しさなどもあり、簡素だったり質素だったりするんですけれども。

かつての日本がそうだったように、イタリアでは、本物をちゃんと丁寧に食べている人が多いんです。それが食事に関してだけでなく 暮らし全体に対しても同じ印象で。 とても感銘を受け、共感しました。

おいしいワインの傍らにはおいしい料理があり、 気心知れた人とたのしみ、彼らの活力になっています。だから私たちは、ワインをきっかけに暮らしを丁寧にたのしむよろこびを伝えたいと、レストランの味をご家庭でも気軽に味わっていただける 「エノガストロノミア」というスタイルの店を開いたんです。


店頭でのワインやパスタ、お惣菜の販売のみならず、
真空パックの料理をオンラインストアで扱っていらっしゃるのも。
レストランの味をご家庭でという、一つの形です。
日々の食卓が、レストランから遠ざからない。
豊かで丁寧な暮らしのきっかけを、お届けできたらと思っています。

お店でも、オンラインストアでも人気の牛肉の煮込み。

「おいしい」はシンプル・丁寧・上質の調和

イタリアでの体験が根底にある古澤シェフですが、
料理をするうえで最も大切にしていることはなんですか?
シンプルかつ丁寧に、上質に仕上げる、でしょうか。

一番大切で、難しいと思っています。

 

私は、普通のものがまっとうにおいしいのが好きで。だから、うちの店で扱う食材は、朝に出会った地元野菜だったりします。
そのぶん、調味や加熱など、料理する行程で、ほかのシェフがあまり気にされないような些細なことも気にしています。

 

たとえば、オイルや塩、酢などの基本調味料に気をつかう。いい基本調味料は私たちの味の生命線であり、そのおいしさを追い求めていると言ってもいいですね。

中でもオリーブオイルは、おいしいものをジャブジャブと。普通は、サラダや仕上げ用のエキストラバージンオリーブオイルを
加熱にも使っています。お客さまが直接、味わいの違いを感じられなかったとしても、風味が違うと思っていますし、食後もお腹が重くならないんですよね。

普通のものですから、より基本が際立つのでしょうか。
そう信じています。

では、古澤シェフにとって「おいしい」とは、なんでしょう?

調和だと思います。

 

目の前のお皿に味として魅力があることはもちろん、料理が空間や時間、共に食べる人に溶け込んでいる。
それが「おいしい」ではないでしょうか。

 

おいしいものは、気の合う人と一緒に食べると、なお、おいしいですよね。
それと同じく、空間や時間も「おいしい」要素の一つであり、私たちは、とても大事にしています。

 

身近な食材を使ったり、シンプルなメニューでも、テーブルに真っ白のリネンが一枚、さっと敷かれている。
そうした心配りやひと工夫が一つひとつ合わさっていくことで、贅沢で、丁寧な時間をつくっていくはずです。

料理を始め、取り巻く全ての調和ですね。
はい。だから、料理とワインも調和が大切。等しくおいしいものを選び、より相性のいいものを共に味わうことで、
それぞれ「おいしい」んだけど、さらに、俄然おいしくなる。
古澤シェフの考える「おいしい」は、 お客さまにとって、どんなものであって欲しいですか?

お客さまの暮らしを充実させる、一つの要素であればうれしいですね。

 

私たちがつくっている真空パックの料理をギフトにしてくださる方もいるのですが、まずはご自身の、普段の食卓に活用していただけたらと思っています。

 

日本人は、外食でもギフトでも「いいもの」を知っています。だからこそ、繰り返し続いていく日常の暮らしにも
ちゃんとした、丁寧なものを選んでいただきたいと思っています。

古澤一記|KAZUKI FURUSAWA
古澤一記KAZUKI FURUSAWA
イタリアではなじみ深い、ワインをおいしくたのしむための料理や食材など全てが揃う「エノガストロノミア」というスタイルのお店「オルトレヴィーノ」オーナーシェフ。イタリア・トスカーナなど4州で料理人、ソムリエ、ぶどう栽培・ワイン醸造を経験した古澤一記シェフがつくる本物のイタリア料理やイタリア惣菜を取り揃えています。心地よい空間づくりにも定評あり。
関連タグ