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merchantDEAN & DELUCAの毎日

ソムリエのワインセレクション vol.4

2020.10.01

DEAN & DELUCAが大切にしているワインのスタイルは、値段やクラスにかかわらず「食事と合わせて輝く」こと。食とワインの知識と経験豊かなソムリエは、しあわせな出会いをセッティングしてくれる、頼もしきコンシェルジュでもあります。

そこで、DEAN & DELUCAのワイン達人たちに聞いてみました。プロ目線でのワイン選びとは? ソムリエの仕事について。ワインを200%たのしむためのヒントあれこれ。匠の目利きによるマスト・バイの顔ぶれにもご注目!

ソムリエインタビュー vol.4 作田 大介 - 東日本エリアシェフ

シェフだからこそ提案できる 精度の高いワインペアリングを

シェフだからこそ提案できる 精度の高いワインペアリングを

人生初のグランヴァンで ペアリングの極意に目覚める

料理人としてのスタートは、都内ホテルのメインダイニングから。古典的なフランス料理だったので、当然ながら料理と切り離せない飲み物として、ワインがいつも身近な存在にありました。でも、個人的にはっきりと興味を惹かれるきっかけになったのは、上司に連れられて行った街のレストランでのこと。

新入りの部下(僕)のために上司が選び、ごちそうしてくれたのがマジ・シャンベルタンのグラン・クリュでした。一口飲んで、大げさではなく世界がひっくり返るほどの衝撃を受けました。「こんなものが世の中にあったのか!」という。ピノ・ノワールの上品で華やか香り、繊細で奥深い味わいに、すっかり魅了されてしまったんです。グランヴァンを口にすること自体、初めての経験でしたから。そして、さらに上をいく驚きが、その先に待っていました。ワインと同じブルゴーニュの郷土料理、ブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮込み)に合わせて飲んだ瞬間、再び世界がひっくり返ってしまった。化学反応としか言いようがないです。1本のワインと一皿の料理が出会うことで、こんなにも相乗効果が高められるなんて!

マリアージュの基本は、土地のお酒と料理を引き合わせること。そして、ワイン単体のレベルにとどまらない“料理ありき”のクオリティがある。その揺るぎなさを最高の形で見せてもらった、本当に感動的な体験でした。

人生初のグランヴァンで ペアリングの極意に目覚める
 

基礎をしっかり学ぶことが 引き出しの多さにつながる

衝撃の出会いから間もなく、本格的なワインの勉強を始めました。とはいえ、あくまでも興味の中心にあったのは、料理と相性を極めるためのワイン。今で言う「フードペアリングとしてのワイン」です。となれば、座学より、実地での経験の積み重ねがモノを言う。それが可能な仕事環境にも恵まれていました。

最初に取り組んだ課題は、まずブドウの品種別の特徴をつかむこと。「マジ・シャンベルタン」の経験で自分の好みはピノ・ノワールだと気づいたので、それを基準に、ひたすら単一品種のワインを飲み比べる毎日。務めていたホテルのレストランは古典料理が多かったので、バンケットの残りのワインとクラシカルなソースに合わせて相性を確かめてみたり。

料理もワインも、あえてオーソドックスな道から外れずに、基礎知識を身につけようと意識していました。ギューッと集中的に勉強して、2年後にはソムリエ資格も取得。今思い出しても、この時期の学びは間違っていなかったと思う。基礎って、すごく大事。ベースがしっかりないと、引き出しも増えていかないから。シェフとしての経験を重ねた今、それがよくわかります。

フードペアリングとしてのワイン
フードペアリングとしてのワイン

王道と創造のアプローチで攻める 作田流ペアリングの極意とは

ホテルを辞めてDEAN & DELUCAに移ると、ペアリングの引き出しは一気に増えました。以前と大きく変わったのは、グローバルな食材に触れる機会が増えたこと。ホテル時代にはなかったデリをつくる中で、ソムリエとしての自分の立ち位置についても考えるようになりました。ソムリエが専門職の場合、その日の料理や好みを聞きながらワインを選ぶけれど、料理が本職の自分は、もう一歩踏み込んだ提案もできるはず。たとえば、定番のデリメニューでもあるラザニアなら、フィリングのボロネーゼと同じ産地のランブルスコで繋げたり。ピノ・ノワールには鴨のロースト。ただし、季節のデザートを付け合わせやソースで添えて、ちょっと軽さを出す、みたいな。

幅広い食材を扱うDEAN & DELUCAだからこそ、自由に遊べるアプローチが無数にあっておもしろい。両方のアイデアを行き来できるところが、シェフ兼ソムリエの強みと言えるかもしれません。

 作田流ペアリングの極意
 作田流ペアリングの極意

ワインセミナー“WINE EXPERIENCE”で ペアリング達人の本領発揮

DEAN & DELUCAに入社して15年近く。その間、周りのスタッフには、いつも刺激をもらってきました。商品について聞けば、打てば響くように答えが返ってくるし、食の話になったら止まらないプロばかり。自分もすっかり影響されて、フードマスターの社内資格を取得しました。

とりわけ重要なターニングポイントになったのが、2店目に配属された品川店でのホアキン・J・ロドリゲス(vol.1 ソムリエ)との出会い。とにかく、ワインに対する熱量がハンパじゃなくて。文字どおり、自分にとってのワインの師匠です。

2014年にシェフとして品川店に戻ったタイミングで、ジェイさんが主宰するワインセミナー「WINE EXPERIENCE」がスタート。声をかけてもらって、ペアリングのためのフードアレンジを担当することになりました。1回ごとに違うテーマに合わせてテイスティングする3種類のワインを決め、それぞれに合う3品のアペタイザーで軽いコースの流れをつくっていく。基本的には、ブドウと料理に共通する地域性を縦軸に、品種や味わいの特性などを横軸に組み合わせを決めていきます。時には、ヨーロッパや新世界のワインに、あえて和の食材をぶつけるようなチャレンジも。工夫のしがいがあって、たのしいです。DEAN & DELUCAの食材を生かしたペアリング体験をきっかけに、デイリーなワインのたのしみ方がもっと広がってほしい。いつもそう願いながら、回を重ねています。


ソムリエが選ぶ、おいしいワイン棚

作田シェフにとって、ピノ・ノワールはワインに魅了されるきっかけとなり、今も愛してやまない特別なセパージュ。今回は、王道のブルゴーニュとは違った個性と魅力を放つ、新世界のピノ・ノワール3本を選りすぐってご紹介します。


Ken Wright Cellars / Pinot Noir Savoya Vineyard 2015
ケン・ライト・セラーズ / ピノ・ノワール サヴォイア・ヴィンヤード2015

オレゴンをピノ・ノワールの銘醸地へと導いたトップワイナリー。サヴォイア・ヴィンヤードは、このワイナリーの特徴でもあるピノ・ノワールの単一畑のひとつ。ピノ・ノワールならではのエレガンスを備えつつ、カリフォルニアとは趣の違うオレゴン特有のダスティなテクスチャー、ドライな質感で魅了する。

「テロワールにかける情熱、単一畑のピノ・ノワールに専念する哲学に、まず敬意を覚えます。ワインは、ピノらしい華やかな香りがあるブルゴーニュスタイル。タンニンは控えめ、かつタッチがやさしいので、料理も旨味がしっかりあるステーキより、繊細さのあるブッフ・ブルギニョンなどの煮込み料理を 」

Matetic / Corralillo Pinot Noir 2015
マテティック / コラリージョ ピノ・ノワール2015

チリでもトレンドを牽引するナチュールの造り手として注目されるワイナリー。チリの赤にイメージされがちな濃厚な果実感とは一線を画する、涼やかでチャーミングな輪郭。ハーフボトルでは得がたい安定のクオリティで、プチギフトにもぴったりの1本。

「チリ=濃いワインばかり」と思っているかたに試してほしい。ピノ・ノワールの繊細さを丁寧に引き出していて、フルーツ系の甘酸っぱいソースを添えた鴨のローストなんかを合わせたくなる洗練度。栽培の難しいビオディナミに果敢にチャレンジしている姿勢にも共感します」

Koyama Wines / Person's Vineyard 2016 Pinot Noir
コヤマワインズ / ピアソンズ ヴィンヤード ピノ・ノワール 2016

DEAN & DELUCAで絶大な人気を誇る新世界ワイナリーの1本。オーナーは日本人醸造家の小山竜宇氏。冷涼な気候と石灰質土壌の利を生かし、ピノ・ノワールとリースリングの2品種を栽培。凝縮感がしっかりあり、エレガントなだけには終わらない骨格と力強さを秘めたニュージーのピノ・ノワール。

「ブラインドで飲んだら、ブルゴーニュと錯覚しそうなフィネスを感じます。丁寧につくられていることがわかる、緻密で繊細なタッチ。でも、醤油味も受け止めてくれそうな出汁のような旨味もあり。椎茸をバルサミコ酢でキャラメリゼした料理とのペアリングは、絶品でした。日本人醸造家のDNAによるものでしょうか。興味深いですね 」
作田 大介|Daisuke Sakuta
作田 大介|Daisuke Sakuta

ホテルレストラン勤務を経て、2005年DEAN & DELUCA入社。丸の内店でキッチンスタッフを務め、3年後の2008年に渋谷店のシェフに就任。その後、六本木店のシェフとして腕を振るい、オープニングに立ち会った吉祥寺店ではマネージャーも兼任した。丸の内店を経て、再びシェフとして戻ってきた品川店で、2014年からワインセミナー「WINE EXPERIENCE」がスタート。講師を務めるDEAN & DELUCAのワインディレクター、ホアキン.J.ロドリゲスの絶大な信頼を受け、ワインに合うフード提案を担当。2017年から都内店舗のシェフを統括するエリアシェフに。今年度からスタートした新しいワインクラスでも、ジェイとのタッグによるフードペアリングに取り組んでいる。

※ソムリエの情報はインタビュー当時のものです

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