DEAN & DELUCAの毎日
DEAN & DELUCAが大切にしているワインのスタイルは、値段やクラスにかかわらず「食事と合わせて輝く」こと。食とワインの知識と経験豊かなソムリエは、しあわせな出会いをセッティングしてくれる、頼もしきコンシェルジュでもあります。
そこで、DEAN & DELUCAのワイン達人たちに聞いてみました。プロ目線でのワイン選びとは? ソムリエの仕事について。ワインを200%楽しむためのヒントあれこれ。匠の目利きによるマスト・バイの顔ぶれにもご注目!
ソムリエインタビュー vol.2 - 田中 大資 DEAN & DELUCA 商品部統括
日常の食卓で、 もっとカジュアルに食とワインをたのしむお手伝いを
バリスタから一転、ワインのスペシャリストに
ワインとの付き合いは長いのですが、仕事として向き合ったのはかれこれ15年くらい。というと、意外に短いと思われるかもしれませんね。もともとは、コーヒーが専門でした。バリスタとしてカフェやバルの仕事に立ちながら、コーヒーについての知識を深めていくうち、ふとワインも勉強してみようかな、と。どちらも嗜好品であり、香り、味わい方、フレーバーをたのしむ飲み物であるところも一緒。両方を知れば、また違う景色が見えてくるんじゃないか。そんな好奇心から、ワインを意識して飲むようになり、テイスティングの勉強も始めました。
ワインを知るおもしろさは、味わいの多様性だけでなく、トレーサビリティ、サステナビリティ、テロワールといった、特有の世界観に触れられること。気がついたら、すっかりその魅力にはまり、抜けられなくなって今に至っています。
ワインの販売、セレクション、買い付けを一通り経験してきた中で、いつも心がけてきたのは「いかに敷居が高いイメージをなくし、カジュアルにたのしんでいただけるか」ということ。その点、レストランのソムリエでなく、カフェのバリスタとして経験を積んだ目線が、どこかで生きている気がしています。
料理と合わせたとき、真価を発揮するワインを
現在所属している商品部では、チーズ、生ハム、ワインなど食材の商品バイイングや開発を担当しています。ワインを選ぶ基準は「食卓で飲まれることをイメージできる1本」であるかどうか。ワイン専門店ではなく、グローサリー(食材店)であるショップの性格上、過度にマニアックである必要はないと思っています。イタリアン、フレンチ、和食など、DEAN & DELUCA で提案する様々なジャンルの食材に合わせられ、かつ、それぞれの料理と組んだときに最大のパフォーマンスを発揮できるワインであること。それが、ひいては 「その土地の食文化を表現する、おいしいものをそろえる」というDEAN & DELUCAのベースコンセプトにつながっていくと考えます。
テイスティングで意識的にチェックするのは「バランス」でしょうか。「無理をしていないワイン」と言い換えてもいいかもしれません。自然派ワインの“自然”とは、また別の意味で、ナチュラルで肩の凝らないワインであること。もちろん、価格とのバランス感も大切です。飲み疲れしなくて、毎日飲んでも、しみじみとおいしい。食事をしながら、気がついたら1本空いてた、みたいなのが理想ですよね。
食のトレンドを映すニューカリフォルニア系に注目
“ペアリングで真価を発揮するワイン”は、今の市場トレンドでもあります。その好例が”ニューカリフォルニア系”と呼ばれる、新潮流のカリフォルニアワイン。ヨーロッパのワインに倣ってテロワールを重視し、60~70年代のクラシックなカリフォルアらしさへの回帰を表現したスタイルです。ロバート・パーカーが評価したパワフルなカリフォルニアワインとは対照的な、フレッシュで軽やか、エレガントな果実感が持ち味。アメリカ的なセレクトを得意とするDEAN & DELUCAが、ここ数年来、注力しているジャンルでもあります。
従来のカリフォルニアワインとは、また違った魅力をお伝えできればと思っています。カリフォルニアワインを探しに来るお客さまは、あの力強い味わいを求められる方も多いですからね。ワイン単体で飲みたいのか、料理と一緒に召し上がりたいのか。シチュエーションを聞いて、よりふさわしい1本を提案するアプローチが望ましく、そのためにも、ラインナップの厚みが必要ですし、そのバランスがきちんと取れているところが、DEAN & DELUCAの強みだと思います。
メモリアルな1本、ブロックセラーズとの出会い
個人的に思い入れが深いメーカーは、DEAN & DELUCAのロングセラーでもあるブロック・セラーズ。2013年にサンフランシスコに出張に行ったとき、スーパーで見つけたカベルネ・フランを飲んで衝撃を受けたのが、そもそもの出会いでした。抜群のバランス感とエレガントな味わいに「これは日本で絶対売れる!」と確信。帰国後に懇意にしていたインポーターに相談し、国内輸入を実現させた思い出があります。
カリフォルニア以外では、イタリアやフランスの自然派、特にロワールのつくり手が好き。今でもワインにのめりこむきっかけともなった、ニコラ・ジョリーを敬愛しています。同じロワールだと、ドメーヌ・ユエもすごく好きな生産者ですね。
私たちにとって大切なワインであるシャンパーニュだと、ジャック・セロスやセドリック・ブシャールなど、レコルタン・マニピュラン(自家栽培・醸造の小規模シャンパーニュメゾン)のシャンパーニュメゾンに惹かれます。セドリック・ブシャールも、初めて飲んだのはシェ・パニーズで、その調和のとれた味わいに感激し、数年越しのラブコールで取り扱いが決まった生産者の一人。ブロック・セラーズと一緒ですね。やっぱり、特別な愛着があります。
視察、リサーチ、試飲で世界中を飛び回る
ワインバイヤー、商品企画という仕事柄、海外出張にはよく出かけます。アメリカやヨーロッパのトレードフェアを回ったり、生産者を訪問したり。フランスのオーガニックワインの展示会“ミレジム・ビオ”にも足を運びました。大手メゾンもビオディナミに切り換えたり、つくり手の顔や哲学が見えるワインが評価される現実が見えてきたり。トレードフェアに行くと、ワインをめぐる新情報やトレンドを肌身に感じることができます。
空き時間ができれば、現地の飲食店やスーパーマーケットへ。レストランではメニューを念入りに眺めて、飲めるワインの銘柄や料理名を細かくチェック。何がよく飲まれているのか、どんなペアリングがあるのか、生きた情報を得るためには、街場のリサーチが欠かせません。
もちろん、スキルアップのためのトレーニングは国内でも。商品の惣菜とワインの相性をチェックする“ペアリング研究”を、よくみんなで行います。食べるものは豊富にあるから、飲みながら「合う」「合わない」を多角的かつ実践的に検証できる。食材屋ならではの、理想的な研究環境と言えるかもしれませんね。
「THE BAR」から始まるペアリング体験の楽しみ
DEAN & DELUCAに待望のワインテイスティングカウンター「 THA BAR 」が登場したのは、2017年。六本木店10周年記念のリニューアルを機に生まれ、品川店にも第2号目の「THE BAR」ができました。
DEAN & DELUCAのメイン商材であるシャクータリー、チーズ、ワインは、どれもバイヤーが自信をもって選んだ逸品ぞろい。そのおいしさを知っていただく場としてTHE BARでは、気軽に飲み比べが楽しめるグラスワインと、小皿スタイルで季節のおすすめのデリを提供しています。
ワインは泡、白、赤を含めて常時4~5種類を用意。テイスティングは上級クラスでもグラス1杯800~900円ほど。ハムやチーズは300円前後~でお値頃価格。ハムは部位別に数種類を、チーズは季節替わりでお出しするなど、リピートしたくなる工夫も凝らしています。おかげさまで、2店ともに大好評。仕事帰りにさくっと立ち寄り、気に入ったワインや食材を買っていかれるお客さまも増えてきました。
ワインと食材の相性を実感していただくためには、実物を食べて、飲んで、体験していただくのが一番です。六本木店、品川店にいらっしゃる機会があったらのぞいてみてください!
ソムリエが選ぶ、おいしいワイン棚
「つくり手の理念や哲学、テロワールを映したワインに心惹かれる」という田中。マイ・フェイバリットの自然派ワイン、レコルタン・マニピュラン(自家栽培・醸造の小規模シャンパーニュメゾン)の中から、特におすすめの泡、白、赤の3本を選んでもらいました。
Roses de Jeanne / Cote de Bechalin Blanc de Noirs
ローズ・ド・ジャンヌ / コート ド ヴァル ヴィレンヌ ブラン・ド・ノワールNV
「単一畑、単一品種、単一ヴィンテージ」をポリシーに掲げる新進気鋭のシャンパーニュメゾン。代表キュベの「ローズ・ド・ジャンヌ」は極小の畑で育てられるピノ・ノワール100%によるブラン・ド・ノワール。入手困難なプレステージ・シャンパーニュとしても知られる。
- 「初めて飲んだのは「シェ・パニーズ」で。こんなにおいしいシャンパーニュがあるんだ! と感激しました。ベースの白ワインの完成度が高く、シャンパーニュとしてのクオリティは随一です。アペリティフ(前菜)よりも食中でたのしみたい。キンと冷たい温度から常温まで、温度で変わる味の移ろいをたのしんで 」
Domaine Huet Vouvray / Le Mont Sec
ドメーヌ・ユエ ヴーヴレ / ル・モン・セック シュナン・ブラン
栽培にもつくりにも早くから自然派のスタイルを採用してきた、ヴァン・ナチュールの先駆者的ワイナリー。ビオディナミの自社畑で栽培されたシュナン・ブラン100%使用。フルーティーな甘味を特徴とするヴーヴレーでは珍しい、ミネラリーな辛口タイプ。
- 「銘柄によっては貴腐ワインがブレンドされており、特有の厚みがありつつ、シャープで繊細なキレもある。ロワールのシュナン・ブランの個性がたのしめる、まさに食中向きのワイン。ロワール地方特産のシェーブルはもちろん、軽くグリルした野菜料理にも抜群。冷やしすぎず、高めの温度で味わうほうが、おいしさが引き立ちます 」
Broc Cellars / Vine Starr Zinfandel
ブロック・セラーズ / ヴァイン スター ジンファンデル
サンフランシスコ対岸、レストラン『シェ・パニーズ』でも有名なバークレーの街中にあるアーバンワイナリー。畑を持たず、ビオディナミやビオロジック農法で栽培されたブドウを農家から買い取って醸造。ピュアでナチュラルな果実味と伸びやかな酸が心地よい。
- 「ニューカリフォルニア系ナチュラルワインの真骨頂を知るのに最適な1本。やさしい飲み口ながら、ブドウのエキスをぎゅっと閉じ込めた旨味が芯にあり、メイン料理と合わせても負けない存在感あり。パルミジャーノレッジャーノをたっぷり振りかけた牛肉のタリアータなんかいいですね 」
- 田中 大資|Daisuke Tanaka
- DEAN & DELUCA 商品部統括
- バリスタとしてカフェやバルの仕事に立ちながら、コーヒーについての知識を深めていくうち、ワインの世界へ。その豊富な知識は、社内からも熱い信頼を集める。
※ソムリエの情報はインタビュー当時のものです
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