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フェルディナンド・プリンチピアーノ

2026/09/01 00:00
フェルディナンド・プリンチピアーノ

フェルディナンド・プリンチピアーノFERDINANDO PRINCIPIANO

ピエモンテ・ランゲのつくり手、フェルディナンド・プリンチピアーノ。

バラと赤い果実の香り、伸びやかな酸、緻密なタンニン。フェルディナンド・プリンチピアーノが手がけるネッビオーロには、奥行きと、自然とグラスが進む軽やかさがあります。

1993年、フェルディナンドは父が1950年代に始めた農園を受け継ぎ、自身のワインづくりを始めました。当時主流だったモダンな醸造方法を取り入れていましたが、やがて畑やヴィンテージごとの違いをより明確に表現するワインづくりへと転換していきました。

その個性を伝えるのが、セッラルンガ・ダルバの「ボスカレート」と、モンフォルテ・ダルバの「ラヴェーラ・ディ・モンフォルテ」です。二つの畑は直線距離で数百メートルしか離れていませんが、土壌や斜面の条件が異なり、生まれるバローロもそれぞれ異なる表情を見せます。この二つの畑を軸に、プリンチピアーノの歩みとワインの魅力をご紹介します。

THE BEGINNINGワインづくりの転換

プリンチピアーノのセラー
プリンチピアーノのセラー。

フェルディナンドが自身のワインづくりを始めた1990年代、バローロの世界では、短いマセレーション(果汁に果皮や種を漬け込む醸しの工程)と小樽での熟成を取り入れた、いわゆる「モダンスタイル」が主流になりつつありました。 フェルディナンドも最初はこの流れに沿ってワインをつくっていましたが、さまざまな畑のバローロを飲み比べるうち、畑が違うのに味わいが似通ってしまうことに、次第に違和感を覚えるようになります。 2000年代の初め、栽培と醸造を根本から見直し、培養酵母の使用をやめ、野生酵母による自然な発酵と、大樽でのゆっくりとした熟成へと切り替えます。樽の風味や強い抽出に頼るのではなく、ネッビオーロ本来の香りと酸、そして畑ごとの個性を素直に映し出す、現在のスタイルへとたどり着きました。


IN THE VINEYARD畑から生まれる味わい

ワイナリーから望むランゲの丘陵地
ワイナリーから望むランゲの丘陵地。

醸造の見直しと歩みをそろえるように、畑での栽培も大きく変わっていきました。 化学肥料や除草剤などの使用をやめ、土壌の健やかさと生き物の多様性を大切にする栽培へと切り替えました。ボスカレートの畑では、湧き水を生かして池をつくり、まわりの森や草地とともに、鳥や昆虫、カエルたちが集まる環境を守り続けています。 グリーンハーベスト(果実の量を減らす摘房)もあえて行わず、ブドウが自然に熟すのを待ちます。


BOSCARETOセッラルンガ・ダルバのボスカレート

セッラルンガ・ダルバのボスカレート
セッラルンガ・ダルバのボスカレート。

ボスカレートは、セッラルンガ・ダルバの南部に位置する畑です。石灰質を主体とする土壌に、1970年代に植えられたネッビオーロが根を張っています。 収穫したブドウは除梗せず、房ごと足で踏んで果実を潰し、約1か月間マセレーションします。発酵中はピジャージュ(液面に浮かぶ果皮などを押し沈める作業)を行い、その後、大樽で24か月熟成させます。 ボスカレートは、毎年その名で瓶詰めされるわけではありません。酸、タンニン、果実味がバランスよく調和した年にのみ、その名でボトリングされ、基準に届かなかった年は「バローロ・セッラルンガ」にブレンドされます。近年では、2013年、2016年、2019年、2020年がボスカレートとしてリリースされました。 赤いチェリーやラズベリーを思わせる鮮やかな果実の香りに、バラ、オレンジピール、ミント、白胡椒のニュアンスが重なります。


RAVERA DI MONFORTEモンフォルテ・ダルバ

モンフォルテ・ダルバのラヴェーラ・ディ・モンフォルテ
モンフォルテ・ダルバのラヴェーラ・ディ・モンフォルテ。

ラヴェーラ・ディ・モンフォルテは、モンフォルテ・ダルバのなかでも、ひときわ急な斜面に広がる畑です。土壌は砂質を含む粘土石灰質で、古いネッビオーロの樹が根を張っています。 急斜面ゆえに機械を入れることが難しく、収穫から手入れまで、多くの作業を手で行います。収穫したブドウは破砕したのち、ステンレスタンクで約1か月マセレーションし、大樽で24か月熟成させます。 熟したチェリーを思わせる厚みのある果実味に、バラの香りが重なり、豊かなタンニンが味わいをしっかりと支えます。ボスカレートが張りのある酸と緻密さで魅せるのに対し、ラヴェーラ・ディ・モンフォルテは、より豊かな果実味と力強さが印象に残るバローロです。


FOCUS ON NEBBIOLO再び、ネッビオーロへ

フェルディナンドと息子レオナルド
フェルディナンドと息子レオナルド。

フェルディナンドはこれまで、ネッビオーロのほかにも、ドルチェット、バルベーラ、フレイザ、スラリーナ、ティモラッソなど、多彩な品種を手がけ、畑を約22haまで広げてきました。 2024年、畑を約7haへと縮小し、同年のヴィンテージを最後に、ネッビオーロ以外の品種の生産を終えます。2025年ヴィンテージ以降はネッビオーロのみに絞り、自らの目と手が届く規模で、ワインづくりを続けています。 目指すのは、畑ごと、年ごとの個性を軽やかに映しながらも、味わいの芯はしっかりと感じられるネッビオーロです。

THE WINESプリンチピアーノのワイン

鮮やかな果実味と伸びやかな酸、しなやかな飲み心地。プリンチピアーノのワインには、品種や畑の個性がまっすぐに表れています。 若々しく軽快なものから、複雑な香りと長い余韻をもつものまで、その日の料理に合わせて選びたいワインです。

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