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堀河屋野村

堀河屋野村「本物しか作らない」手作り一筋、三ツ星醤油

猛暑を乗り越え、季節は秋。1年を通してもっとも食の実りを感じられる季節でもあります。ご紹介の通りDEAN & DELUCAでは、この秋、食卓に欠かせない新米を始め、夏の疲れた身体を整える和食の味を美味しく引き立たせる、基本の調味料が充実しました。その充実の背景には、何より”一生お付き合いしたい“と想えるような新たなる作り手との出会いがあったから。そのひとりが「堀河屋野村」の13代目ご主人、野村太兵衛さんです。
食のセレクトショップとして、作り手の顔と姿勢を何よりも大切にするDEAN & DELUCA。そこで新たに加わった「堀河屋野村」の『三ツ星醤油』と『径山寺味噌』を、作り手の野村さんの想いとともに、テーマ別にご紹介。和歌山県御坊にある「堀河屋野村」を訪ねました。


theme1 DEAN & DELUCAが、「堀河屋野村」と出会った理由。

2004年品川店オープンとともに日本の和食材のラインナップを充実させてきたDEAN & DELUCA。これまで和食材に欠かせない基本の調味料を始め、雑穀、うどんやそばといった麺など、様々なパッケージフードを揃えてきました。そんななか、今年に入ってから新たな作り手との出会いを求めて和食材を見直す動きが始まります。その見直す上でキーワードとなったのは、「(1)クラシックであること。(2)地域に根づいた生産をしていること。(3)日常使いのための調味料であること。(4)作り手の顔やこだわりがしっかりと見えていること」。どれもがDEAN & DELUCAが大切にしてきたルールです。

そんななかでまず見直したのは、日本の味付けに欠かせない調味料、醤油でした。

「どんな作り手さんを選ぶか考えたとき、まず醤油発祥のルーツを辿ることから始まりました。その場所は紀州だと知り、探っていくうちに出会ったのが、「堀河屋野村」さんの『三ツ星醤油』です。4つ(のルール)の視点をすべて押さえていましたし、また醤油が生まれるきっかけとなった、『径山寺味噌』(Theme2を参照)を作っていらっしゃったのも、大きかったです。それで実際醤油を味わって……これはぜひ取り扱いたいと思いました。コクがあるけれど濃いという感じはなく、甘みもある。そして香りがすごく良い。とにかくすべての料理を引き立たせる、台所の常備品になると思いました」。

と語ってくれたのは、和食材商品担当の佐々木潤さん。こうしたことがきっかけとなり、新米の収穫が待ち遠しい秋の頃、”ごはんのおとも“に合わせたい料理に欠かせない調味料として、「堀河屋野村」の『三ツ星醤油』や『径山寺味噌』が各店の和食材コーナーに並びます。

theme2 日本が誇る調味料醤油。そのルーツとは?

日本の醤油の誕生は鎌倉時代にさかのぼります。その始まりは、ひとりの禅僧が中国の浙江省の径山寺から味噌の醸造法を持ち帰ったことから。当時、禅僧は紀州(現在の和歌山県由良町)に西方寺(後の興国寺)を開き、径山寺で学んだ味噌の製法を近所の人たちに伝えていきます。そしてある日、この『径山寺味噌』の上澄み液を取り分けて煮物を作ってみたところ、大変美味しかったので、その液がやがて独立した調味料として作られるようになっていった。これが醤油の始まりと云われています。

その後、日本で初めて「醤油」の文字が文献に現れたのは、室町時代。当時は貴族階級や武家社会でしか使われない高級な調味料でしたが、江戸時代になると醤油は庶民のあいだにも幅広く使われるようになっていきます。

ちなみに醤油作りが関東へと伝わっていったのは、17世紀の中頃、紀州商人たちが黒潮に乗って房総へと移り住んだことがきっかけに。今では関東の醤油の一大産地として知られる銚子や野田も、そのルーツをさかのぼれば、こうして興国寺へと戻っていきます。

100年以上の時を経て生きる、 もろみの大桶。
美味しい醤油、味噌作りには品質の良い「もろみ」作りが必須。「堀河屋野村」では、麹を食塩水とともに、100年以上使っているという杉の巨大な大桶に仕込みます。麹菌の酵素は濃い食塩水のなかで発酵し続け、「もろみ」となって熟成。 この繰り返しによって木桶には、代々仕込まれてきた麹菌が住みつくのです(木桶は一般的に使われているタンクと違って、表面だけ洗っても菌がしみ込んでいるので、結果的に失われずにすむ)。 そしてこの桶を始め、梁や土壁など、長きに渡って蔵の至るところにすみ着いている酵母や乳酸菌が、醤油の風味と香りをまろやかに育ていきます。

theme3 御坊「堀河屋野村」のはじまり

一説によれば、興国寺近辺の水は醸造にはあまり向かず、水質の良い湯浅、御坊で醤油作りが盛んになっていったとも。その御坊で、やはり寺直伝の『径山寺味噌』と『三ツ星醤油』を作り続けている老舗が、「堀河屋野村」です。

創業は元禄年間(1688年〜1703年)。元々は廻船問屋を営んでいたところ、当時、得意先への土産用に作っていた『径山寺味噌』と醤油が評判となっていたため、それをいつしか家業に。それ以来、300年あまり17代(本業になってからは、13代)野村太兵衛さんと長きに渡って、かたくなに昔ながらの伝法を守り、手作り一筋に堀河屋の味を守っています。

theme4 手造り一筋、DEAN & DELUCAでも一押しの、三ツ星醤油。

「おいしい日本の醤油は日本の材料で作るのが一番」という野村さんの信念のもと、『三ツ星醤油』の原料には国産大豆のなかでも粘り気のある、北海道産大豆と国産小麦を使用しています。そしてすべての工程において、何より手間と時間を贅沢に使っています。これもまた「自社の商品が一番旨いと言い切ることのできる生産者であり続けたい」という野村さんのこだわりから。伝統そのものを守るのではなく、美味しさを追求し続けるなかで、結果的に「堀河屋野村」の味は、300年続く伝統製法のなかで作られているのです

 醤油作りの心臓部、「堀河屋野村」の蔵には100年以上の年輪を刻んだ22石入の木桶が16個並んでいます。この木桶でもろみを発酵・熟成させるのです。そのほかにも小麦を焙煎する焙烙、火入れ用の釜……すべての道具が人の手仕事に見合った最小規模のものになっています。

こうした伝統製法の本来の醤油は、十分煮沸した大豆と炒った小麦を混ぜて種麹を加え、出来た麹を食塩水とともに仕込んで長期間かけゆっくり熟成させます。五味の調和の上に、さらに香味豊かな醤油の絶妙な味わいは、時間と微生物とが十分に活躍して初めて出せる技であることは今も昔も何も変わりません。「手をかければかけるほど、香りが膨らむような気がします」と、野村さんは言います。

「そのままお刺身やお漬物、湯豆腐などにお使いになると、なお一層、真価が堪能いただけますよ。生のままの醤油のうまさこそ、まさに、”本物“の証ですから」とは野村さん。実際取材時には、野村さんの奥様の真理さんがもてなしてくれたお刺身にさっと『三ツ星醤油』をつけて。口に含んだ瞬間、野村さんの言葉の意味にすぐさま納得したのでした。

また、今回取材に伺った際、仕込み真最中だった径山寺味噌は、瓜と茄子、紫蘇、生姜など夏に採れた野菜を冬までおいしく食べる保存の知恵からできたもの。この「なめ味噌」もまた、秋の新米のおともに、酒のつまみに最適です。

theme5 13代目当主・野村太兵衛さんの想い

家業を継ぐ前から「本物 is ベスト」という哲学を持っていたと言う野村さん。

「僕は小さい頃から周囲の人に恵まれて育ちました。特に大学時代は、堀口大学先生(翻訳家・詩人)を始め、山本嘉次郎氏(映画監督)、徳力富吉郎氏(版画家)など、様々な文化人の方と交流を持つことができて、そこで様々な食の体験をさせていただいたことが、自分のなかの本物志向を作ってきたのだと思います。本物とは決して高価なものだけを指すのではありません。素材にこだわり身体によいものを。そして最終的には自分が本当に美味しいと思えるものを食べたい、その欲求に正直になるというか、食べ物に対してちゃんと自己主張をすることです。その経験が醤油作りに還っていくんです。結局食べ物を作るというのは、自分が美味しいものを食べたい、その一心ですから」。

昭和40年代、大学卒業後に野村さんが家業を継いだ頃は、製造コストを下げた安価な大量生産品に押されて「堀河屋野村」は赤字が続いていたと言います。けれどそんな時代にも支えになったのは、野村さんの哲学でした。「本物しか作らない」。それが多くの人々の支持を呼び、やがて「堀河屋野村」そのものの強い信念へと変わっていきます。 「自分の舌感覚を信じてやってきました。私はずっと創業者感覚を持ち続けられたことが、今までやってこれた理由のひとつになっていると思います」。

保存料や合成添加物は一切使わず、吟味した国産材料と昔ながらの手仕事でつくられた醤油や味噌は、味や香りはもちろん、値段にも差があるのは、当然のこと。私たちはその手間を含めて、美味しくいただいているのかもしれません。

「世の中を広く見聞きするということが大事だと思っています。私自身は日本食に限らず、様々な国の食が大好きです。うちの醤油も例えばソイソースとしてフランス料理の隠し味に使ってくれたら嬉しいし、使う人それぞれが心から美味しいと自己主張してもらえるように使っていただければ、何よりだと感じています」。

堀河屋野村

堀河屋野村

住 所: 〒644-0002 和歌山県御坊市薗743
TEL: 0738-22-0063
営業時間: 9時〜17時30分(日・祝日は不定休)
アクセス: JRきのくに線「御坊駅」より車にて10分、御坊湯浅自動車道「御坊インター」より車にて10分、紀州鉄道「西御坊駅」より徒歩2分。
URL:http://www.horikawaya.com

堀河屋野村には店舗が併設されています。「いつでも自分の舌を信じて、美味しいものを食べたい」。そんな野村さんのこだわりのもと、『三ツ星醤油』や『径山寺味噌』といった自社の商品はもちろん、野村さんが日常的に使っている調味料を始め、好みのお酒、食材などが豊富に並んでいます。

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